死の講座とは

かつてタブー視されていた「死」をとりあげた講座
2011年4月12日から開催。

 「ついに行く 道とはかねて 聞きしかど 昨日今日とは 思はざりしを」(在原業平[825-880] 『古今和歌集』)。

 死ぬことをいつかは人は必ず行かねばならない道とは以前から聞いて知っていました。華やかな生涯を送った業平にとって,これほど差し迫るとは思いもよらなかったなぁ,という歌です。パスカルを持ち出すまでもなく,すべての人は死刑囚です。すべての人は生まれた瞬間に「百年のうちに死刑は執行される。けれど,その方法は伝えない」と言われたりします。

 戦後1945年には,日本人の平均寿命は男性23.9歳,女性37.5歳の41歳でした。今では82歳の高齢社会を迎えています。800万人以上が80歳を超えています。定年も50歳でしたが,今では70歳に引き上げる審議もなされています。

 日本の大都会であっても,散歩していて出合うのは,ペットである犬です。しかし,子供を見かけなくなっています。公共の乗り物でも若者の姿より,高齢者の方が圧倒的に多い時代になりました。

 いまだかつて死を経験して,明確に死後はどうなのか語る人はいません。ただ頭の中でいろいろと観念として考えているのです。死について明確な洞察をもつと自ずと人生はかけがえのないものになります。

 死を恐れる。なぜでしょうか。死の瞬間,何を考え,どのように納得して,死を迎えるのでしょうか。死を終わりではなく,転換点と考える視点もあります。では,死に至る過程の医療,心理学的研究,ターミナルケア,尊厳死などについて,当講座は,医療,法学,社会学,宗教学など多岐にわたるそれぞれの専門家がライフワークを通して研究してこられた,サナトロジー(死生学)について語っていただきます。
 死とは何か,答えがありません。宗教者だけで説明できる領域でもありません。法律家,医師,哲学者,ビジネス界,芸術家,宗教家たちによるフォーラムを立ち上げ,次世代に語っていきたいと願っています。

 日本では,サナトロジーについては,歴史が浅く,おそらく1986年頃,上智大学のアルフォンス・デーケン教授(当講座 2012年6月18日講師)たちが用いたのが最初でしょう。
 サナトロジー[死学(死生学と言われるが,正しくは“死学” 英: thanatology]は,ギリシア語サナトス[死]の派生語です。本会「みんなで『死』を考える会」のホームページのドメインはマモウス[ヘブライ語 mamowth] からとられています。

 本会は,2011年3月,大震災で多くの人々が死に遭遇し,「不知(しらず),生れ死ぬる人,いずかたより来りて,いづかたへ去る。」(『方丈記』鴨長明 1212年)の光景に直面したことが契機になって,神戸で発足しました。1995年1月17日(火)午前5時46分にマグニチュード7.3が阪神間を襲いました。16年の歳月を経て東北で古今未曾の東日本大震災が3月11日(金)午後2時46分に発生。阪神では,死者は6,434人,負傷者は43,792名。一方,東北最大の被災地人口16万人の石巻市だけで3,280人,安否がわからない行方不明者数は629人に及んでいます。

 本会の研究講座を通して,死に向き合い,ご一緒に考えていきましょう。

シンクタンク みんなで「死」を考える会
Thinktank  Thinking  Death [TTD]

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